◇実務能力があることと、出る杭とは意味が違う。
前回、「出る杭は打たれる」ということについて語った。
打たれないためにどうするのか。
その1つの方法が「能あるタカは爪を隠す」ことである。
このように言うと、まるで世の中を恐れた生き方だ思う人がいるかも知れない。「そんなに悪い世の中じゃないよ」と言う人もいるだろう。
その通り。そうとも言えるし、そうでないとも言える。
要は、実力次第なのだ。
すなわち、世の中は矛盾も沢山あるし、利害関係でギスギスもしているが、実力のある人はとても上手に渡っていく。
すなわち、実力不足の人がムズカシイことになっているのだ。
その実力というのは「実務遂行能力」だけを示すものではない。
社会人、組織人、また家庭人としての人間関係能力のことである。また、思い通りにならないことを受け止める寛容さの力のことである。
会社員として考えてみよう。
実務能力が天才的で、百人力なら人間関係が作れなくても生きていける。
でも、多くはそんな実力はない。せいぜい、出来が良くても2~3人力だ。
それでも2~3人力はスゴイ話で、普通はドングリの背比べだろう。
問題は、実務遂行力が高くても、上司に反抗するなら(嫌がられたら)その組織にはいられないということである。
力があって上司に反抗的な人を「Aさん」として以下に話を進める。
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Aさんは飛び切り仕事ができる。
だから、周囲がボンクラに見える。上司すらボンクラに見える。
そこで、上司にも「これがオカシイ、あれがオカシイ」と言う。あげくに、それを上司のさらなる上司にも伝える。
こういう人は、必ずいるものだ。そして、その批判の先には社長もいる。
最終的に全員がターゲットになる。
「うちの社長もダメだ。社長の器以上の会社にはならない」と言うAさん。
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さて、このAさんはこの後、どうなるであろうか?
そもそも、このAさんの考えには重大な問題がある。
この会社という船(器)と、現在の会社の業績は、Aさんが作ったものではない。
船は、社長と株主(出資者)の所有物である。
その人様の所有物に乗せてもらって給与を稼げていることが分からないのだ。先人たちへの報恩感謝の念が欠けているのだ。
これは、やがて、Aさんにとって大きな不幸をもたらすことだろう。
まず、サラリーマンとして仕事をするなら、職場や職場の先輩に文句を言ってはならない。
文句は意見とは違う。文句は「見切っている」のだ。「自分が正しく、相手が間違っている」のだ。
意見というのは「報告」の一種である。最終判断は責任を持つ上司が行う。
文句は激しくやると、部署移動かクビになる。
結果、「俺は意見を言ったまで。了見の狭い会社だ!」と会社を辞めるのも手だが、きっとそういう人は職を転々とすることだろう。
大事なことは、本当に能力のある人は“出る杭にならない”ということである。
次回、出る杭にならない優秀な人の行動について語りたい。
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