☆仏法西還への布石.
小説・新人間革命第30巻は、第三章「雄飛」の章となりました。
冒頭、5回目の訪中が語られています。
今、日中は尖閣諸島や海洋権益をめぐる争いで対立し、双方の国民感情は冷え切ってしまっている中、そのタイミングで日中友好の真剣な対話が語られることは、大変、意義深いことです。
訪中のたびに語られる周恩来首相との友情の物語は、未来万年に渡る日中友好の模範であり、両国の永遠不滅の金の架け橋です。
私たち日本人からすると、今、中国ほどの大国が、なぜ異様なまでの武力を保有し、陸や海の権益の確保にどん欲に動いているか、理解に苦しむのですが、今回の「雄飛」の一文で教えられたように感じました。
その一文を以下に掲げ所感を述べます。
「山本伸一との語らいで華国鋒(かこくほう)主席は、10億を超える中国人民の衣食住の確保、とりわけ食糧問題が深刻な課題であるとし、まず国民経済の基礎となる農業の確立に力を注ぎたいと述べた。
農民の生活が向上していけば、市場の購買力が高まり、工業発展の力にもなるからだという。
その言葉から、膨大な数の人民の暮らしを必死に守り、活路を見出そうとする中国首脳の苦悩を、伸一はあらためて実感した。
政治は現実である。そこには人々の生活がかかっている。
足元を見すえぬ理想論は空想にすぎない」
なぜ、中国がどん欲なまでに東シナ海、南シナ海への侵略を続けるのか。
それは膨大な数の人民の生活基盤を確保するためなのでしょう。
彼らは同胞の人民の命を守るためという大義名分で、国際世論の批判をも無視できるということなのでしょう。
「他国のことなどかまっていられない」
その自利への愛着が、他を圧倒し、凌駕するパワーになります。
行き過ぎた中国を垣間見る思いで、私は先生の小説を読みました。
加えて、これから数百年の時が流れ、中国が今の中国でなくなった時、中国に信仰の自由が生まれた時、この小説・新人間革命は中国人民の魂を揺さぶる折伏の書となるだろうとも思いました。
人も国も会社も、いつも理想と現実とで悩むものです。
生活、生存のために、悪にもならなければならない時代もある。
そのことを私たちは知り、少しでも善への方途を組み入れ、悪を肥大化させず、共存共栄への道を切り開く私たちでありたいものです。
今、衣食住に恵まれた、生活意欲の小さな時代の日本人にとって、とかく頭でっかちの理想論のみの思考になりやすい時代と思います。
これでは苦悩にあえぐ人々との交流はムズカシイでしょう。
多様な立場、多様な考え、多様な生活を理解し交流する。
私も、肝に銘じて生きたいです。
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