☆義理と人情の板挟みに苦悶.
私はインチキ商品を発見し、取扱い中止を要求した。
しかし、取り扱いは中止されず、私は組織から外された。
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読者の中には、なぜ黙して傍観したのかと思われる読者もおられよう。
私は何もしなかったのではない。2年余の苦痛の日々の中、問題解決には幾度もアクションを起こしている。以下に、当時の動きを振り返ってみよう。
○行政の反応.
実際に、私は複数の官庁の行政担当者と話し合っている。
インチキ商品を製造している会社を行政が罰してくれるなら、「根っ子から問題は解決される」と考えたからである。
しかし、その問題は「行政側の対応はできない」内容のものであった。
行政担当者は、法律にない問題を処理はできない。罰するには法律が必要で、「残念なことに、法律がないので取り締まりはできない」というのである。
担当者は伏し目がちに、「これが私たちの限界なんです」とつぶやいた。
近年、脱法ドラッグ、あるいは合法ドラッグと呼ばれる薬物が社会問題化したが、これと同等の話である。
明らかに有害なものであっても、政治家や行政が主体者となって問題解決の法律を策定しない限り、取り締まることができないのだ。
一般家庭の場合は、消費者センターなどを通じ、対応をしてもらえる。(検証実験もされる)しかし、企業相手の商品の是非を追尾する担当窓口は皆無であった。
世の中は、星の数ほど新商品が生れては消えている。
その1つ1つに行政が関与している訳ではない。
企業間の取引は、だまされる方も悪い。企業は詐欺に遭わないよう自浄努力が必要である。仮に問題が発生した場合は、騙された会社が、悪徳企業を訴訟するという方法がとられる。
私の所属する会社は、インチキ商品を訴えることをしなかった。
問題を放置し、売り続けた。
では、問題の解決方法はまったくないのだろうか?
それでも、攻め口はあった。
県単位の行政担当者を1つ1つ説得して回り、県単位で排除する方法があると、ある行政担当者から教えられた。
しかし、それは広域にまたがる話で、しかも成果が出る、出ないは対話した行政担当者の判断となる。しかも、私の立場を明らかにしなければならない。立場を明かせば、所属する会社が矢面に立つことになる。
どう考えても、この方法は成り立たなかった。
また、政治家に相談するという方法もあったであろう。
しかし、問題解決の道はあまりに遠く思えた。
このようにして、いくつかの突破口を開く努力をしたし、解決方法を検討したが、結局、断念せざるを得なかった。
○有力者との会談.
この渦中に、有力な人物に相談をした。
この人物をA氏と呼ぼう。
A氏に、「当社では、このような商材の販売を検討しています。いかがなものでしょうか?」と、まだ売る前の段階を演出して質問した。
A氏は次のように語った。
「この商品は明らかに本来の機能をだめにする仕組みを持っています。取り扱いはしないことです。日本で売られる商品は、アジア各国が模倣します。そこで私は先回りをして、※※でのシンポジュウムで、この商品は問題がありますから輸入しないでくださいと、話しているところです」とのことであった。
このように、問題の商品と戦っている人がいたのである。
しかし、この有力な人物すら、この商品の国内流通を阻止できないでいた。
○内部告発はしない.
八方ふさがりの中で頭をよぎったのは、マスコミへの告発だった。
当時、牛肉コロッケの偽装や、賞味期限切れの乳製品の使い回しの内部告発が立て続けに発生していた時代である。
その騒動がテレビで連日報道された。その結末は、どれも悲劇ばかりであった。
内部告発は劇薬である。確かに問題は収まるが、会社も吹っ飛ぶ。
罪もない従業員が職を失う。路頭に迷う。家族が泣く。
内部告発とは、自殺に等しい解決策である。
そのピストルの引き金を引く指先になることができるだろうか?
私は考えたし、悩んだ。けれど、売り上げ全体の1%に満たない商材、100ある商品の1つ問題で、99の良い商品すらも失うということは、明らかにやり過ぎだ。
何より不忠に思えた。育ててくれた親も同然の会社を破滅させられるであろうか。
長く苦しんだ。幾度も内部告発のシュミレーションをし、どう動けばどうなるかを考えた。結果、「内部告発はしてはならない」と判断した。
このようにして、私は、幽閉生活を続けたのです。
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